イランは歴史的にも文化的にも独自で奥深くとても魅力的な国だけれど、いざ旅に出かけてみようと思うと色々と事前に知っておかなければならない事が多い国だった。このページでは渡航前に準備しておくと便利な情報をまとめた。
インターネットが自由に使えない可能性がある
イランのインターネット自由度ランキングは中国に次いでワースト2位。
政治的な理由でアクセスが政府により制限されており例えばYourube, twitter等が使用できない。
通常はVPN(Virtual Private Network)という接続をごまかすようなアプリを使えば政府の検閲を潜り抜けてそういったサイトへのアクセスができるようになる(規制状況にもよる)
VPNアプリ
※VPNサービスのウェブサイト自体が政府の規制でブロックされてアクセスできない可能性を考慮してイラン入国前に済ませておいた方が良い。
セカイVPN (2ヶ月の無料体験期間あり)
https://www.interlink.or.jp/service/sekaivpn/
ExpressVPN
Glocal VPN
https://glocalnet.jp/lp/vpn_movie/index.html
アクセス可否の状況
<VPN無しではアクセス不可なもの>
facebook
twitter
youtube
他
<VPNが無くてもアクセス可能なもの>
google
instagram
LINE
WhatsApp
Yahoo Japan
他
観光ビザが必要
日本で事前に取得する方法
ウェブで申請、大使館で手続き、受け取りは郵送or大使館窓口
イランイスラム大使館サイト
https://japan.mfa.gov.ir/jp/generalcategoryservices/10523/観光ビザ-tourist-visa
2023年9月現在申請料は3,200円
申請から受け取りまでは概ね1-2週間位
イランの空港で入国時に取得する方法
アライバルビザを取得
料金が7,000-8,000円程度かかり、ビザが確実に下りるかどうかは判らない為、事前取得が無難
https://evisatraveller.mfa.ir/en/request/
クレジットカードが使えない
アメリカとの関係悪化でイランでは’クレジットカードが使用できない。
使えるのは現地通貨やドルやユーロ等。
ATM もクレジットカードや国際キャッシュカードに対応していない。
急激なインフラで貨幣価値が不安定な為、現金を両替して持ち歩くと大量の札束を持ち歩く事になってしまう。
その為、現地人は現金ではなくデビットカードで支払うのが当たり前になっている。
そこで便利なのが現地で発行できるDARIC pay等の旅行者用のデビットカードだ。
日本からでもウェブで申し込みができ、イラン国内のホテル等で受け取りができる。
必要な額を銀行振込やpaypalで入金して現地人のように支払いに使う事ができる。
100€以上の残高が残った場合は銀行口座やpaypalアカウントに返金してもらえる。
残金が100€以下の場合は自分でATMで引き出して現金で持ち帰る事になる。
カードは返却不要で持ち帰る事ができる。
DARIC pay Iran Travel Card
https://www.daricpay.com
発行費用20€
チャージは銀行振込、paypalで可能
イラン国内のATMで現金引き出しも可能(ATMは英語表示可能)
イレギュラー対応
筆者の場合はDARIC payのウェブサイトからカードを注文しようとしたとろ、最後の最後で”Order now” というボタンをクリックしても無反応な状態で申込が完了できなかった。
チャットサポートに連絡をするとサイトの復旧作業中との事だった。
そこでチャージ額や落ち合いたい場所等を直接伝え、ビザとパスポートのPDFをチャットに添付する形で渡し、申込が完了できた。
すると今度はヨーロッパの規制で日本からの送金を受けられないとの事。
銀行ではなくtransfer wiseの様な海外送金サービスの類を使ってもである。
これに対しては現地ホテルでの待ち合わせの際に直接ユーロを現金で手渡せば代わりに入金して貰えるという事になった。
チャージしたくなったらテヘラン市内であればまた待ち合わせて現金と交換に対応できるとの事だった。
そうなるとひとまずユーロをキャッシュで用意しなければならない。
外貨の購入は実は質屋の大黒屋でも行えるという事を知り、今回試してみた。
結果的に成田空港の両替所や外貨両替の宅配サービスを利用するよりも1円程度安いレートで円からユーロへの両替ができた。
通貨がややこしい
リアル(Rls)とトマン(Toman)という2つの通貨単位がある。
現在はトマンが主流と言われているがこれは新紙幣がトマン、旧紙幣がリアルという訳では無い。
紙幣にはトマンもリアルも両方とも書かれている。
1トマン=10リアル
最近の新紙幣にはトマンの省略表記があるのだが、例えば100,000トマン(=1,000,000リアル)紙幣には1000000という数字の下に100と記載されている。
何か買う際に店員に100と言われたら省略表記の事だから100,000トマンの意味にもなるし、飲食店等のメニューもこのトマンの省略表記が使われる。
一方レシートやATMのの明細はリアルで印刷される。
また、為替レートは複数存在し、両替の際に確認すべきレートはgoogle等の一般サイトで確認できるものとは別にある実勢レート、マーケットレートと呼ばれるもので確認する必要がある。
※祝祭日と金曜日は両替所が閉まっているので注意
Bonbast (マーケットレート確認サイト)
https://www.bonbast.com
日付がややこしい
イランの人々はイラン歴で生活している(西暦2023年9月13日はイラン歴1402年 6月 22日)
その為、窓口で西暦の日付でチケット等を予約した際に齟齬が生じて希望の日時とは違うものになってしまう可能性もある。
予約の際は曜日、明日、明後日等の表現でやり取りした方が安全かもしれない。
日付を伝える場合には暦も含めて伝えた方が無難だと言える。
西暦イラン歴計算サイト
http://www2s.biglobe.ne.jp/~yoss/W-map/IranianCalendar.html
祝祭日
祝日は一般店舗の他、両替所、一部の電車、地下鉄等も営業していない為、出入国日に重ならないよう注意。
JETROイラン祝日
https://www.jetro.go.jp/world/middle_east/ir/holiday.html
タクシーアプリ
イランは原油産出国でガソリンが安い為、タクシーが格安で利用できる。
10kmで1ユーロ位(2023年9月時点)
!Snappというタクシー配車アプリが便利。
支払いは現金の他、デビットカードによるチャージも可能。
使用する為にはイランの携帯電話番号の登録が必要になる。
android
https://cafebazaar.ir/app/cab.snapp.passenger?l=en
iOS
https://apps.apple.com/jp/app/%D8%A7%D8%B3%D9%86%D9%BE-snapp/id996370173
SIMカード
空港内のirancellというキャリアのカウンターでSIMが入手可能
その他街中の電気屋等でもいくらでも入手可能
ペルシャ数字、ペルシャ文字
ペルシャ文字はアラビア語とほぼ同じ文字の為、難易度が高い。
バス等の番号や座席に使われるペルシャ数字もペルシャ文字で書かれているから最低限の数字をすぐわかるようにしておくと良いという情報がある。
Google翻訳アプリならカメラで文字を撮って翻訳できる為、便利。
筆者の使用したバスのターミナルや席では普通の数字が使われていた為、特段困らなかった。
ペルシャ数字の読み方、発音が勉強できるサイト
https://www.pinhok.com/ja/kb/perusha-go/930/perusha-go-no-suuji/
服装
(男性)
短パン、ネクタイの着用はNG
半袖を避け長袖が好ましいという情報があるが、現地では確かに長袖の男性も一部見かけるものの、大くは半袖で過ごす男性が多い。
(女性)
ヒジャブ(頭から巻くスカーフ)、長袖を着用。
ヒジャブは地味な色に限らずピンク等のカラフルな色、ブランドロゴ柄等を自由に身につけている女性も多い。
コンセント
電圧220V, 周波数50Hz, コンセントプラグCタイプ
海外旅行保険必須
海外旅行保険への加入が義務付けられている国が存在し、イランもその内の1つ。
海外旅行保険付きのクレジットカードのものでもよく、その場合はクレジットカード会社から付保証明書を入手する。
三井住友カードの自動付帯のクレジットカードの付保証明書はアプリから即ダウンロード可能だった。
イランの空港でも入国時に加入可能。
参考ページ
三井住友カード付保証明書の発行
https://www.smbc-card.com/mem/service/li/pop/insurance_certificate.jsp
海外旅行保険への加入義務について
https://tabiho.jp/insurance-guide/knowledge/duty.html
クレジットカードの海外旅行保険について
https://tabiho.jp/insurance-guide/knowledge/creditcard.html
ホテル予約が自由にできない
agoda, booking.com, airbnb等のサイトでは予約できない為、以下のようなサイトでの予約が必要。
旅行中、Hostel worldは予約が不能な時もあり、その際はホテルに直接連絡して欲しいというメッセージが表示されていた。
結果的にホテルとメールをやり取りすれば問題なく予約は取れた。
ホテル予約サイト
1stquest (フライト予約、旅行保険申込もできる)
https://iran.1stquest.com/hotel
Hostel world (ビジネスホテル以上のものが中心)
https://www.japanese.hostelworld.com
Trip.com(ユースホステル、ドミトリー等が豊富)
https://jp.trip.com
APOCHI (列車、ツアー、フライトも予約できる)
https://apochi.com/online-booking/hotel
※パスポートはホテルに預けることになっている
※政府の方針で外国人は安宿に泊まる事が禁止され、中級から高級ホテルに宿泊するように要請されている為、安宿では宿泊を断られる事ががる
※入場時にパスポートの提示を求められるような観光スポットもある為、その場合は返却を求める必要がある
ホテル以外
Couch Surfingという民泊サービスを使用する手段もある(利用には要VPN)
Web
https://www.couchsurfing.com
Android
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.couchsurfing.mobile.android&pli=1
iOS
https://apps.apple.com/us/app/couchsurfing/id525642917
バス
長距離バス
チケットは市内のバス会社のオフィス、バスターミナルの窓口で購入できる。
VIPというのが冷房付きのバスの事である為、夏季は冷房なしのバスにならないように予約時に注意した方が良い。
(長距離バス予約)
HiPercia
市内バス
バス停横にあるブースで切符を買う
距離ではなく一回の乗車で一枚の切符を買えばいい事がほとんど
切符を運転手に渡すタイミングはまちまちで決まっていない
民営バスは切符ではなく料金を運転手に手渡す
(男性)
前方から乗車して前方の席に座る
(女性)
後方から乗車して後方の席に座る
テヘランのBRT(プラットホームから乗降する路面バス)
※市内バスと逆のルール
(男性)後方から乗車して後方の席に座る
(女性)前方から乗車して前方の席に座る
鉄道
時刻や料金の確認
イラン国鉄サイト
www.iranrail.net
鉄道チケット予約
APOCHI
https://apochi.com/online-booking/hotel
HiPercia
何でも手配して貰える心強いパートナー
旅行中、バスも鉄道も長距離タクシーもホテルもツアーも何でも手配して貰えるHiPerciaという旅行会社を知る事となった。
決して利益の為ではなく旅行者に良い旅をして貰いたいという気持ちが真に伝わってくるような旅行会社で旅行中に何度もチャットをしてお世話になった。
滞在期間や予定に合わせて程よい提案もしてくれる。
お陰で自分の選択範囲には入らない様な綺麗なホテルや、効率的なプライベートのツアータクシーを予算内で手配して貰えたり、一泊だけのつもりだった街への滞在をここは素敵なところだから二泊した方がいいというようなフレンドリーなアドバイスで予定を変える事になったりとイランでの旅が素晴らしいものになった。
旅行中、バスや鉄道の空き状況が全く見えなかった為(iranrailのサイトも閲覧できなかった)、いつどこへ行くのにバスや鉄道があるか否かを全て調べて知らせて貰えるのは心強かった。
HiPercia(英語)
地球の歩き方が4万円超え?
2023年9月現在、最新の地球の歩き方は2017-2018年度版、コロナウイルスの影響で渡航制限があった為か長い間新しいものが出ていない。
どこの本屋にもネットショップにも古本屋にも定価の2000円近くのものが無く、売値は高騰し7,000円から4万円超えになっている。
3000円弱のものを見つけて飛びつくとそれは20年近く前のものだった。
残念な事に電子版も出ていない。
筆者の場合は結果的に図書館を利用する事を思いつき、これを乗り切った。
イラン現地のニュースサイト(英語)
www.tehrantimes.com