イラン一人旅 Day 4 Kashan vol. 1

 

今日は慌ただしい朝を迎える事になった。

 

携帯がネットワークにどうしても繋がらない。

 

普段はそんな事はどうでもいい事ではあるのだけれど今日に限っては困った事になった。

 

朝早くから次の街へ長距離バスで移動しなければならないし、バスターミナルや現地での移動にはタクシーアプリやマップアプリが必要になる。

 

今晩のホテルも予約しなければならない。

 

それに旅行代理店、そしてその旅行代理店への支払いを振込で代理して貰うデビットカードのエージェント等ともチャットで色々とやり取りしなければならない事が残っている。

 

散々親切にして貰った為、突然の音信不通では大きな不義理になってしまう。

 

ホテルスタッフの青年に助けを求めると時間をかけて親身に色々と携帯やVPNの設定を細かく確認してAPNの設定等まで試してくれた。

 

しかし何をどうしてもwifiにさえ繋がらない。

 

刻々と時は経ち、そろそろ出発しないとバスにも間に合わなくなりそうだった為、途中で設定を諦め、最終的にはホテルの青年がタクシーを呼んでくれた。

 

忙しない中での別れになってしまったのが残念だったがまた会えればいいと思う。

 

渋滞はなくどうにか発車時刻の10分前にターミナルの入り口に到着した。

 

ドライバーにホテルの青年から聞いていた額をぴったり手渡したが首を振って三分の一程の額を返された。

 

心の清い正直な人々だ。

 

こういうところでもイランという国がまた好きになる。

 

 

背中にのしかかるバックパックの重量でもたつきながら建物の中へと走る。

 

乗車口にどうやって辿り着けばよいのかわからずキョロキョロと周りを見回しながらにかく先へ先へと息を切らして走り続けた。

 

売店にずらりと並んだペットボトル入りの水が脇目に見える。

 

何より欲しいものだけれど立ち止まってそんなものは買っていられない。

 

とにかく急がなければバスが出てしまう。

 

建物の端に小さなドアを見つけ、そこを駆け抜けるとどうにかバスが並ぶ外の乗車口の出られた。

 

 

携帯の画面にバス予約内容のペルシャ語の部分を表示させ、人に聞きながら走り続ける。

 

そしてようやく乗車するバスに辿り着いた。

 

巨大なバスのその車体がまだ搭乗口のその場所にあるという事が旅の続きの約束が得られたような安心感となって胸をほっとさせる。

 

さあ乗り込もうとバス予約画面をドライバーに見せるものの、そこでチケットが必要だと言われてしまう。

 

予約画面だけでは駄目なようだ。

 

するとCome!come!と言って近くにいた男性が手招きをして導いてくれたのでついていく。

 

階段を上がり、ターミナルの建物内へ戻り、チケットカウンターへと辿り着く。

 

カウンターで薄い紙のレシートのようなバスチケットが発行され、急いで来た道を戻ってバスへと走る。

 

発車2分前。

 

どうにかバスに間に合った。一安心して席にどっかりと腰を落ち着ける。

 

車内はエアコン付きでカーテンで強い日差しもしっかりと防げるから快適だ。

 

 

窓からの風景

 

車道の脇には砂地が続く。

 

 

金色の屋根のモスクも見えた。

 

 

出発から30分近く経ったところで突然携帯がネットワークに繋がった。

 

原因は結局よく分からなかった。

VPNアプリを入れて使っているからどうも接続がおかしくなってしまう。

 

とにかく早く今夜のホテルを予約しなければならない。

 

予約にはHostel worldというブッキングサイトを利用した。

 

当日の予約もできるところが強い。

 

予約も済ませ、ようやく安堵すると空腹に気づく。

 

昨晩買ったナッツと数日前にスーパーで買ったチョコレートをかじってやり過ごす。

 

 

3時間程でバスは目的地のKashan(カーシャーン)に到着した。

 

 

ターミナルの植物。

 

 

撮っている時には気づかなかったけれど左奥ではイラン人男性が無邪気に笑いながらこちらに手を挙げているのが写り込んでいた。

 

無邪気で楽しい。

 

手を振り返せば良かった。

 

大人が無邪気であり続けられる事、童心を持ち続ける事は健やかで美しい。

 

ターミナルからホテルへはタクシーで移動した。

 

この街は道幅が極端に狭く入り組んでいる為、ホテルの近くで降ろしてもらい残りは少し歩くことになった。

 

 

道路工事の風景

 

HONDAの単車。

 

イランでは日本の原付や単車が多く乗られている。

 

このタイプはイランでは最も一般的なものらしい。

 

現地人にとってはただの旧型車でしかなく、もっと新しい車種が乗りたいようだけれど、何だかレトロクラシックで雰囲気があっていい。

 

小路を進んでようやくホテルの入り口へとたどり着いた。

 

この小さなトンネルの先の扉を開ければ受け付けがある。

 

 

ベランダを囲むようにして部屋が並んでいる。

 

 

今夜はこの洞穴式住居のようなデザインの小部屋に宿泊する。

 

 

部屋の外には休憩スペースもあって寛げるようになっていた。

 

 

ひとまず荷物を置いて外に繰り出す。

 

ホテルのすぐ近くにはモスクがあるようだ。

 

 

この辺りは街自体が歴史的な遺産になっている。

 

 

当て所なく道を進んだ。

 

 

すると少し開けた場所に何かの建物が見えた。

 

 

入り口の置物は貼り合わされたガラスでキラキラしている。

 

 

中を覗いてみるとがらんとしていたがどうやらモスクのようだった。

 

 

更に中へと入っていく。

 

 

異世界の異空間。

 

 

色とりどりのカーペットが美しい。

 

こんなバラバラの色や柄のものがどうして一体となって綺麗に見えるのだろう。

 

 

カーペットで作られた壁の額縁の文字。

 

花模様もそうだろうけれどペルシャ文字をこんな風に綺麗にアーチ状に入れ込むのも高等な技術が必要なのだろう。

 

 

広間に並ぶパイプ椅子

 

 

パイプ椅子もペルシャ文化の下ではただのパイプ椅子に終わらない。

 

一つ一つに立体的な花模様があしらわれている。

 

 

床の石板

 

モスクを見終えた後はそろそろ食事をしようかとカフェレストランに入った。

 

 

雰囲気やかかっている音楽もが気持ちがいい。

 

チェロのインストやローテンポのアコースティックギターで歌うボーカルもの等が流れている。

 

イランや中東の音楽ではないのだけど木とレンガの温かい店の雰囲気にその音楽が溶け込むようにマッチしていてとてもまったりした良い空間になっている。

 

 

夜以外はシェフが不在との事で食事はできなかった為、パフェとコーヒーでゆっくりする事にした。

 

 

あまりに心地が良いのでついつい随分と長居してしまった。

 

コーヒー 55 toman,  チョコレートパフェ105 toman、合わせて3ユーロ程。

 

 

 

続く