イラン一人旅 Day 1 Tehran vol. 2

 

朝の散歩

 

今日は午前11:00頃に旅行者用のデビットカードを受け取る予定だ。

わざわざカード会社のエージェントの方がホテルまで来てくれる事になっている。

カードさえ受け取れば自由の身だがそれまでは無一文で何もできない。

それでもホテルの近くに小さな見物場所もありそうだった為、散歩がてら外に出てみる事にした。

 

道端の公衆電話

 

近代とレトロの融合した様なデザインがいい。

 

ペルシャ語がどんな風に印字されているのか探したくなる

 

フルーツジュース屋

 

何だか色々と良いものが並んでいるけれど何も払うものがないと綺麗だと思うだけで欲しくはならない。

一体どの位の値段で飲めるものなんだろう。

 

 

電光掲示板に流れるペルシャ文字も気になる。

文字というよりも絵が流れているように見えて何かのパレードを眺めている様だ。

 

 

その近くでは何か行列ができているとおもったらパン屋だった。

 

現地人は皆直径50cm位はありそうな大きく平たいナンのようなものをこぞって求め、それを素手でそのまま掴んで通りを歩いていく。

主婦や老人だけという訳ではない。

働き盛りの男性達も変わりなくこの大きなナンを店主から受け取ってどこかへ向かい歩いていく。

恐らくこれから仕事なんだろう。

職場で少しずつちぎりながら食べる為に朝食として買うのだろうか。

他のものと一緒に食べるのか、何かをつけて食べるのか、よく分からないけれど、

巨大なナンを素手で手づかみして大きく腕を振って歩道を歩いていく朝のイランの人々の通勤姿が新鮮に映り見入ってしまった。

 

パン屋を通り過ぎて少し歩いていると気になるカフェを見つけた。

気になったところで入れはしないのだがイランのローカルのカフェというのもどんなものかと興味が湧く。

コーヒーチェーンという感じの店は見かけないし、個人経営のものですあまりカフェ自体が街に無い気がする。

 

ウィンドウに並ぶカップの中には何故かスターバックスのものが混ざっている。

店内の雰囲気は入り口にちょっとした階段が合って窺い知れなかったが、こういうカフェにも支払いができるようになったら是非入ってみたいものだ。

 

小さな観光場所を目指してしばらく道なりに歩き、TAMADDON ALLEYという通りにやって来た。

ちょっとしたストリートアートを見れる場所らしい。

 

まずは大通りに面して電話ボックスがある。

中にいるのは人間ではなく人形だ。

 

そして色とりどりの傘のアート。

これがメインの様だ。

 

植木鉢のアート

 

敷石のアート

 

そしてストライプの扉なんかもあり、どれもカラフルだ。

 

窓やドアも装飾が施されていてまるで童話の世界のもののような愛らしく凝った作りになっている。

 

観光ガイドに載っているような所ではないのかもしれないし、小さな通りの一角のスペースではあるけれど

ちょっとしたものを見れて楽しめる場所だった。

 

タイヤの上に立ち、蝶になって写真を撮る事もできるらしい。

 

ストリートアートを見た後は銀行に寄ってみた。

日本円を持ち込んでいた為、どうにか両替できないものかと思った為だ。

基本的にドルかユーロでないと厳しいらしいが日本円を交換できたという情報も体験談として何かに書かれているのを目にした事があった。

しかしこの銀行では両替自体を扱っていないようで断られてしまう。

街中の大きな主要銀行でないと駄目なのかもしれない。

元々450ユーロをデビットカードに入れて飲食や観光に使い、ホテルは極力クレジットカードでウェブから手配できるところに宿泊すればいいと考えていた為、特段日本円が両替できない事は困りごとではなかった。

 

銀行での両替はできなかったが、近辺に両替所が多く軒を連ねていた。

しかし一店入ってみたが日本円は両替できないと断られてしまう。

試しにその隣の店舗にも入ってみるとここでは受け付けてもらえたので1万円分交換してもらった。

(後に分かった事だが日本円なんて誰も買いに来ない通貨を不安定な経済下でそう簡単に交換してもらえる訳はなかった。

それでも交換して貰えたのは親切心からだったのかもしれない。渋々と応対する様子を多少不快に思ってしまったが、そんな事を思う必要はなかったのだ。)

 

デビットカード入手 / 行動開始

 

いい時間にもなってきた為、足早にホテルへ戻り、デビットカードのエージェントを待つ。

チャットで連絡を受け、着いたというので一階へと降りる。

すると若い女性がロビーの椅子に腰掛けて待っていた。

親切に使い方の手解きを受け、念願だった青いプラスチックのデビットカードを受け取り、受領のサインをする。

外へ出てATMで残高確認もしてくれた。

 

これでもうどこへでも行けるし何でもできる。

通行手形を受け取ったような気分だ。

まず向かったのは朝一番に見たあの行列のパン屋だった。

実際に並んでみると店頭にはナン以外にも袋に入った色付きの良いパンが並んでいた。

こんなものがあるとは気づかなかった為、始めはナンを買う気で来たのだが、見た目にも陽気で楽しげな丸いパンの方を選ぶ事にした。

 

そして近くのサーディの広場の椅子に腰掛けて休憩をする事にした。

これがイランで初めての食事だ。

水もようやく飲める。

 

パンはを割ってみると中が黄色っぽい。

ふわふわとしていて口当たりもやさしく疲れが吹き飛んだ。

 

ところでこういうちょっとした買い物であっても現地人はデビットカードで支払いを済ませるし、店側もきちんとカードリーダーを用意している。

急激なインフレ下では現金での支払いに紙幣が大量に必要になり現実的ではない為だ。

そして外国人旅行者はイランでの支払いは桁の多い通貨やペルシャ文字で苦戦を強いられて混乱してしまいがちだが、これにはgoogle lensが大いに役立った。

こんな風にカメラをかざすだけで文字を翻訳して画面に表示してくれる。

 

 

休憩の後に通りを眺めていると遠くに白地に水色の模様の入った玉ねぎ型のモスクの屋根が見えた。

 

得にプランもなかった為、モスクに向かって歩いてみる事にした。

柳のように垂れ下がった木の下には古いクラシックな車が停まっている。

 

LAND ROVERだった。

デザインもカラーも細ハンドルもペルシャ文字のナンバープレートも何だか趣があって良い。

 

少し歩くとすぐにモスクが見えた。

こじんまりとしているが綺麗なブルーのモスクだ。

 

入り口がよく分からなかったが中に入ろうとしている配達人がいた為、習って後をついて行ってみた。

 

しかし生憎中は積荷や倉庫のようになっていて、正しい入り口はよく分からず、入れる感じでもなかったので後にする事にした。

 

歩いてサーディの広場まで戻り、そのすぐ脇のメトロの駅から国立宝石博物館にでも出かけてみる事にした。

 

 

地下鉄で街へ

 

地下鉄駅のエスカレーターは飲みこまれるように深い。

 

この深いエスカレータを降りていく時は何だか陰鬱な気分になった。

降りていけば当然そこに改札があり、そこを通れば地下鉄の列車が走っている。

しかし乗り方も路線も言葉も分からない国の地下鉄に英語もあまり使えない中で乗るのは何だか途方もない事のような気がしてしまった。

 

それでも改札に辿り着けばそこには扉があるし、扉があればそれを通過しなければならない。

そしてそれには切符が要る。

そういう訳で改札脇のカウンターにいる駅員から切符を買った。

 

行き先に関わらず一回の乗車で金額は一定のようだ。

切符はこんなレシートのようなものを発行してもらえる。

QRコードを改札機のリーダーに読ませてれば扉が開く仕組みだ。

切符を買う位ならあまり言葉は必要ないし意思疎通の上での問題は起こらなかった。

 

ホームへとたどり着く。

イランで初めての公共の乗り物に乗れるとあり気持ちが高まる。

便利で快適なごく普通の地下鉄だけれど乗客は皆イラン人だ。

そこへ紛れてたった一人外国人として列に並ぶのが楽しい。

何故だかわからないがテヘランにはどこを見渡しても外国人が一人もいないように見える。

 

歩き途中ショッピングモールの中へ入ってみる。

イランにも当然ショッピングモールはある。

当然というのも何も知らないのだから来てみて初めて言える事ではある。

並んでいるものの多くはごく普通のもので、カジュアルなファッションやフォーマルなスーツ、ドレス等服飾品が中心に売られている。

そういうごく普通のものであってもそれがイランのものとなると、初めて目に見る未知の国の光景として新鮮に映る。

ただのタバコ屋だってそれが建つのが土星であれば感動するといったようなところだろう。

 

 

 

しばらく歩いて目的の宝石博物館 には辿り着いたのだが生憎コロナウイルスの影響で閉館中だった。

渡航制限も解除されてマスクもする必要がなく、随分コロナも落ち着いた中ではあったが開いていないものは仕方がない。

たどり着くのにも場所が分かりづらく、同じ道を4度も5度も行き来しながら迷いに迷ってしまったが閉館の事を教えてくれた警備員の男性の無邪気な態度を見ていたらこちらも笑顔になり、どうでもいい気持ちになってしまった。

 

ふと見ると真隣のビルが銀行の博物館になっているようだったのでひとまず入ってみる事にした。

ここでは銀行の歴史や昔に使われていた紙幣等が展示されていた。

奥の方に電子グランドピアノもあったが何のためだろう。

自動演奏にでも使われるのだろうか。

 

 

銀行博物館見物の後は近くにナショナルアートミュージアムがあるようだったのでそこまで歩いてみる事にした。

向かう途中、通り路のベンチで大きなソフトクリーム(その子にとっては)を手に無心に食べている小さな女の子がいた。

その前には通りに面してアイスクリームとフルーツジュースを売る店がある。

 

真っ白な渦巻き状の冷たくて甘いデザート。

それは炎天下の中を歩き疲れた体が一番に求めるもののように思われる。

店頭の機械を動かしてソフトクリームを1つ作って貰い、それを手に受け取る。

一口食べて一気に機嫌が治る。

頭の中を埋め尽くした疲労物質が一掃されて晴れやかな気分になり、鼻歌まで歌い出して宙に浮かび上がりそうな気分になる。

旅を楽しみたい反面、朝から歩き通しでそれなりに歩き疲れていた。

厳しい熱さや喉の渇き、身動きの不自由さにくたびれ果て、それなりに不機嫌にもなっていたようだ。

 

そのまま道を歩き進み、今度は本屋を見つける。

本屋もカフェと同じようにほとんど見かけない珍しい部類に入る店だ。

ペルシャ語なので何の本かさっぱり分からない。

 

そんな中、ドストエフスキーを見つけた。

絵がそのままだから判りやすい。

ある種こういうものを買って持ち帰っても記念になって面白いのかもしれない。

重い荷物にすぐに悲鳴をあげたくなる自分には向かない土産物ではあるが。

 

その後、ナショナルアートミュージアムに着く前にその隣にある場所が気になったので立ち寄ってみる事にした。

Negarestan Museum Gardenという名称らしい。

静かな庭園で気持ちの良さそうなカフェが併設されていた。

 

少し庭園をぶらついた後はその併設のカフェで休憩する事にした。

色々メニューを説明してくれる中でアイスアメリカーノがあると言うのでそれに決めた。

一口飲んで感動してしまった。

甘くない冷えたブラックのアイスコーヒーだったからだ。

日本では当たり前の事だけれどこの手のものは海外で、特に東南アジアだと思い切り甘いものが出てきておかしくない。

まあアメリカーノとまで名言していればそんな事もないのかもしれないが、気持ちの準備ができていない場合に飲む甘ったるいコーヒーというのはそれなりにげんなりさせられるものがある。

 

 

急いで美術館なんかを見て回る必要もない。

そう思い、気が済むまでこのカフェでゆっくりする事にした。

イランの人は何をして生活を楽しむんだろう。

全く異なる文化慣習の国でふとそう思う。

 

しかし自分は日本人として日本で生活する上で日本人が一体何を楽しんで生きるものなのか外国人に何を答えられるんだろう。

この国の人はこういう楽しみ方をするという確たるものもないのかもしれないし、人が望むような素朴な感情は大概同じようなものかもしれない。

ひとまず旅人の身としては何もせずに観光を放棄してテラス席でお茶を飲んでいるこういう時間が自分の幸せだと思う。

同じ事の連続する日常から完全に切り離された異国の地のカフェで寛ぎながら考えを巡らせたり、何も考えずにただ神経を宙でなびかせているような感覚が心地良い。

贅沢な時間だ。

 

 

食事とお茶も頼んだ。

ナスのペーストをナンで食べる料理とハーブ緑茶。

お茶にはザラメのようなものの塊の棒を溶かし入れて飲むらしい。

 支払いは全部で2,730,000rls (= 6ユーロ位)程だった。

 

 

ゆっくりする内に日が暮れてきた。

気づけば2時間半近く経っていた。

店内の写真を少し撮って店を後にする。

 

一通りのミュージアム等の観光場所は閉まってしまったから夜はとりあえずtabiat bridgeというライトアップされる橋を見に出掛ける事にした。

観光の再開だ。

地下鉄の駅まで歩く。

すると途中には楽器屋が何店も並んでいた。

 

 

ピンクのアコースティックギターなんかもあって洒落ている。

 

 

中には見慣れない楽器も並んでいる。

 

近くに綺麗なモスクも見えたので尋ねてみたが閉まっているようだった。

 

その後地下鉄に乗るも乗り換えを間違えて時間を喰ってしまった。

レッドラインだと思い込んでいた路線が実はピンクラインだったのだ。

目が霞んで赤とピンクの色の見分けがつかなかったのと、そもそもピンクラインなんてものがある事自体を知らずに乗り換えをしていた事が災いした。

 

 

一旦ホテルへ

 

途中でホテルの最寄駅に差し掛かった為、ゆっくり携帯の充電をして出直そうと一旦ホテルに戻る事にして下車する。

そして部屋に戻る前にホテルの近くの小さなスーパーに入ってみる。

 

棚に並ぶ色々なものをしげしげと見て周る。

日本と比べれば置いてあるものは違うが、他の国と比べると大差はない気がする。

それでも外国のスーパーに入るのはちょっとした菓子や水、油や洗剤が並んでいるのを見るだけでもその国のリアルな生活に触れられる気がして土産物屋を見るのとは違った楽しさがあっていい。

 

結局水と牛乳、それからチョコレートを買った。

店主はこちらの方を良い意味で気にしてくれていて、会計したいタイミングで品出し作業をやめて素早く先回りしてレジにつき、

このチョコレートもおいしいからどうか等と陽気に勧めてくれたりする機嫌の良い人だった。

 

ホテル戻り、携帯の充電をしながら体を休ませ、再び外へ出かけようとするとスタッフの方が声をかけてくれた。

ベッドの上に現金置いていったよね?今要る?後で渡そうか?気をつけないと。

そう言って肩を叩いてくれる。

実は今朝部屋を移ったのだが、その際に両替した一万円分のイラン紙幣の札束をベッドの上に置き忘れてしまったらしいのだ。

ホテルに戻ったのはその確認の為でもあった。

どうも気づかぬ内に体も頭も疲れているようだ。

注意散漫になってしまって仕方がない。

それにしてもイランが札束を置き忘れてもこうして親切に返してもらえる国なのが嬉しい。

もちろん国民性だけではない。彼の個人的な性格が良いのもあって滞在が心地良いものになっている。

 

1万円分の現地通貨

(不安定な経済と急激なインフレで高額紙幣でも両替すると札束になってしまう)

 

これが50 toman紙幣

 

イランは通貨単位がややこしく、toman / rialという2つの単位が使用されている。

紙幣にはtoman/rial両方で記載されているがtomanの方だけは略した記載になっている。

略したというのはゼロを四つ切り落とした記載になっているのだ。

例えばこの紙幣の場合は略称として右下に記載された通り50 tomanと呼ばれる。

50 tomanというのは50,000 tomanを省略した表記と呼び名だ。

実際には50,000 tomanなのだが呼びにくいのでゼロを四つ切り落とす事になっている。

tomanの10倍がrialである為、realに直すと500,000realという事になり、それが紙幣の右上に記載されている。

 

レシートやATM等はrial, 店のメニュー等はtomanの省略表示で書かれている。

再び観光(Tabiat bridgeへ)

 

再び地下鉄駅に戻り、今度は切符は買わずに日本でいうところのsuicaのようなチャージ式の乗車カードを地下鉄の窓口で手に入れた。

昼間も窓口で頼んだのだがその際は失敗に終わった。

ICカードが欲しいと伝えたのが悪かったのかもしれない。

旅行本にはICカードという名称で載っており、駅員にはカードの写真まで見せて頼んだのだが駄目だった。

ezpay cardというのがカードの正式な名称らしくその名の通り伝えたところ購入できた。

 

しかし観光1日目の夜になってやっとこのezpay 4980 0026 9821 8486 を手に入ったのを喜んだのも束の間、どうにもカードにチャージができなくて困ってしまった。

チャージはデビットカードで簡単にできるはずなのだが、駅の窓口で何度やってもらってもデビットカードの支払いがエラーになって通らない。

かなり辛抱強く6度も7度も試してくれたが結果は同じ。

(普通の国なら2, 3度で止めてしまうと思うがイランの人は何とかしようと粘り強く協力してくれる)

カードリーダーからはエラーを印字した紙ばかりが吐き出されてくる。

困っているとここでも現地の方が割って入ってくれた。

 

60歳位の男性が自分のチケットを差し出して乗車させてくれたのだ。

そして当たり前の事をしただけといった感じで去っていく。

本当に親切で頭が下がる。

イランは本当に善人ばかりの国だ。

自分も困った外国人に遭遇したら手助けをしなければと思う。

 

 

地下鉄に乗車後は橋を目指して北上し、最寄りのshahid haghaniで降りる。

(ブリッジの最寄りはGoogle map にはShahid Haqquani metoro station と表示されるが現地の表記はshahid haghaniだった)

駅を出て橋がある方へと歩いていくが、見えてきたのは戦車だった。

何というところに来てしまったのだろうと緊張が走った。

しかしそれはどうやら軍事施設等ではなく戦争関連のミュージアムのようだった為、安心してカメラを向け始めた。

(National Museum of Islamic Revolution and Holy War)

 

そして地図ではわからなかったが、橋が見えるスポットへ行くには大きな公園の中のちょっとした丘の上にあるハイキングコースを通らなければならず、体感600m位のうねったコースを上り下りして見晴らし地点に向かう事になった。

 

 

途中には巨大なイラン国旗が聳え立つ。

 

傍らに水道があったので空になったペットボトルに水を汲んだ。

水道水が飲める国は世界でも少ないらしいがイランはその内に入るらしい。

正確に言うと飲む事ができるが注意しなければならない国というリストがあり、そこに入っていた。

何にどう注意していいのかは分からない。

ただ、どれ程歩くか分からない中で喉の渇きと戦うのは耐え難い。

水で口を濡らしたりほんの少し飲み下したりしながら歩いていく。

 

 

無心に道を登り下りしていると橋が見える地点へと出てこられた。

しかし大分見えづらい。

恐らくこの橋はもっと別の地点から眺めるのが正しいのだと思う。

下調べもせずにやってきてしまったから仕方がない。

それでも軽いハイキング気分は味わえるからこれが無駄という事もない。

 

無理にアップにすれば明るい橋の写真が撮れない事もなかった。

 

その向こうにはまた別の橋が望める。

 

適当に辺りを歩いてみると途中に売店があった。

夜も遅く11時頃にもなるのに営業している。

 

ひらけたスペースもあり、そこには遊具というよりはトレーニング機材のようなものが並んでいた。

 

気になったのはこの看板だ。

飲んではいけない水という事だろうか。

それとも節水の為に水を汲むなという事だろうか。

既に喉を下って飲み込んでしまった少量の水が気に掛かる。

 

公園の猫

 

複数で戯れついている。

 

木に登るものもいる。

 

園内を歩いていると煙が見えたので不思議に思っているとガスボンベやバーベキューセットを持ち込んでバーベキューを楽しんでいる人々だった。

何組かそういう家族連れのような人たちを見かけた為、深夜にそんな事をするのも割と一般的な事なのかもしれない。

ビニールシートを広げて寝転びながらチェスの様なボードゲームも楽しんでいるようだった。

 

夜もふけて23時半近くになったのでそろそろ帰ろうとタクシーを呼ぶ事にした。

ところが配車アプリを使っても一向に拾う事ができない。

途方に暮れてうろうろしていると地下鉄はもう終わりだよと話しかけてくる人達がいた。

 

タクシーを呼ばないと。

アプリは持ってる?

どこから来たの?

Welcom to Iran!

 

人懐っこく、親切で面倒見が良く、日本から来たと言うと喜んでくれる。

イランにはそんな人達が多い。

 

今日は他にも道端で4人位の現地人に話しかけられた。

道を訪ねてくる人、恐らくは手助けを申し出てくれた人、何を云いたいのか見当もつかない人。

 

(手助けは別として)何故それを外国人に聞くんだろう。

それも現地のペルシャ語で。

そんな言葉を話しそうもなさそうな中国人に向かって。

(アジア人の見分けなんて簡単にできる事ではないから大方は中国人と思われているのだろう)

 

そんな疑問が湧いてしまうが、それ以上いイランは何だか人と人との距離感が近いところがあってそこが旅をしていて新鮮で面白く感じられる。

 

 

結局1時間近くかかったがどうにかドライバーも見つかったのでスーパーで買った牛乳を飲みながらゆっくり待つ事にした。

(タクシー配車アプリSnappの画面)

 

近くに何だかよくわからないけれどバスの展示物やモスク、博物館等が寄せ集まったような面白そうな場所もあった。

またこの辺りに来てみたいと思う。

 

帰りの車内はスピーカーから大音量で流されるペルシャ語のR&Bのような音楽で満たされる。

非日常が感じられるこういう瞬間が嬉しい。

 

 

続く