夕飯の後はバザールのある繁華街の方へと足を伸ばした。
途中で見かけた聖堂。
同じようなものは他の場所でも見かけたけれど、日本ではあまり見かける事のないこの緑色の電飾がやっぱり何度見ても印象的だ。
近くにはちょっとした公園があって子供たちが遊んでいた。
一角には小さな聖堂のような建物も建っている。
今日も公園には思い思いにゆったりと寛いで穏やかな時の流れを楽しんでいる人々がいる。
見習いたい光景だ。
バザールには歴史的な建物のあるエリアから意外にも数百メートル程度の距離を歩いただけで辿り着いた。
あまり人気のない静かな街といった印象だったけれど、そこにはちょっと歩くだけでこんなにもという位に活気のあるエリアが広がっていた。
女性の人出も多く自由な雰囲気だ。
エスプレッソ用だろうか。
ミニトマト2個位がようやく入る位の鮮やかでポップな色の小さなコップ。
スパイス店
量り売りで多くの種類のスパイスが並んでいる。
こういう類の緑色の香草なんて1年でも10gと使わないけれどこちらの人は数百グラム単位で買って使うのだろうから消費量も桁違いなのだろう。
何だか二人まとめてくくられた囚われの身のようなマネキンがいたので思わず撮ってしまった写真。
玩具屋
アバーヤ、ヒジャブの店
こういう中東の女性が身につける衣服の店が物珍しいので写真を撮っていたところ、通りかかった女性達がこんなのを撮りたいの?!と自分の頭に身につけているヒジャブの裾を持って揺らしながら目を丸くして驚き半分陽気に笑いかけてきた。
スナック店
ポップコーンやともろこし粉か何かを揚げたようなものをポリ袋に入れて並べて売っている。
両隣に商店がずらりと並ぶバザールの狭い道を道なりに歩いていると突然立派なモスクの見える広場に出た。
こんなにすごい場所でも観光客がいないから誰も珍しがって集まったり写真を撮っているような人はいない。
息を呑むほど綺麗なところだけれどあまり知られていないのが残念だ。
きっと状況が変われば多くの外国人が熱をあげる場所になるのだろう。
中も他のモスクのようにやはりギラギラしていて見事だ。
天井が見上げれば花のように開いたデザインになっていてそこからシャンデリアも下げられた贅沢な内装になっている。
中心は立体的なデザインで小さな扉が囲むように並べられている。
どの聖堂を見ても綺麗だ。
中庭に出てまたバザールのエリアに戻ろうとすると60代位の男性に捕まってしまった。
ペンを持っているかと聞いてくる。
日本を発つ時に空港で買ったピカチュウのボールペンを差し出すと自分のペンと交換してくれとせがまれてしまった。
割に気に入っていたのと、差し出されたボールペンがあまりにも事務的な日本で10本100円で売っているようなものだった為、断ってしまった。
しかしその男性は嫌だと言ってもどうしても気に入った様子ですごい力でピカチュウを掴んで離そうとしないので困ってしまった。
結局交換はせずに時間をかけてその場を離れはしたのだけど、今考えると差し出せばよかったのかもしれないと思う。
ピカチュウは旅の後半でどこかに置き忘れて無くしてしまったし、男性にとってはまたと見るようなものではない外国製の特別な代物だったのだろうから。
しかし自分でもペンを持っているのにどうしてわざわざペンを持っているかなんて聞いてきたのだろう。
良いボールペンの国から来た外国人にでも見えたのかもしれない。
気を取り直してバザールを歩き始める。
宝石店
指輪が並ぶ。
アクセサリーはつけないし、まして指輪なんて興味が湧くはずがないのにこういう黒い石の指輪を見るとどういう訳だか不思議と惹かれて身につけてみたくなってしまう。
イランでは男性も指輪をするようだ。
一箇所だけ閑散としていたバザールの一角。
ペルシャ語の電飾文字が印象的だ。
絨毯店
先へ進むと扉とその向こうに何かが見えた。
扉をくぐって中庭のような広場へと抜ける。
何だか雰囲気があって良い。
広場の中心の八角形の噴水やオペラ座のような装飾の立体的かつ開放的な空間。
こんな絵に描いたように綺麗なところがごくごく日常的な場所として使われている。
こちらは絨毯アート店
一体どうしてこんな事が可能なんだろうと思う様な絨毯でできた絵画が並んでいる。
まるで写真のようだけれど実際にこれが写真でも絵画ですらなく絨毯なのだから凄い。
筆で描くのでさえ難しい細かい陰影や色の濃淡までを一体どうやって考えながら縫い付けられるものなんだろう。
突然目に飛び込んだあのキャラクター
バッグスバニーやユニークなデザインのTシャツも並んでいた。
土産物にするのに楽しそうだ。
ひとしきりこんな風に歩いてバザールの見物を終えた。
何を買うわけでもないけれど楽しい。
通りを歩いていると何だかダークで黒魔術のような雰囲気の場所に通りかかかった。
どうやらゾロアスター教の聖堂のようだった。
色々な国に旅行をしていてもゾロアスター教のものは見る事がなかったからとても物珍しく映る。
通りの雑貨屋。
鮮やかな色の子供用の玩具箱にでも使えそうな折りたたみの物入れが並ぶ。
玩具屋
路上のバン
歩き疲れたところでジュース店を見つけたので立ち寄った。
ストロベリーミルクを頼んでみた。
店員の男性は苺が沢山で本当に最高だよと機嫌が良くとてもフレンドリーだ。
飲んでみると言われた通りいわゆるイチゴミルクの人工的な味や香りではなく、本物の苺と牛乳だけで作った香り高い良い新鮮な味わいが広がって疲れが一気に吹き飛んだ。
こうしてホテルに戻り、その後はホテルのカーペットの敷かれたテラス席に横たわって夜空の下、寛ぎながら緩やかな流れの時間を過ごし1日を終えた。
(続く)